第9章 初陣の傷跡
ひとしきり泣き、少し落ち着いた頃、
コンコン、と扉をノックする音が聞こえ涙を拭い返事をするとエルヴィン団長だった。
「どうだ?落ち着いたか?」
「あ、ありがとうございます。もう大丈夫です」
ハンジさんも兵長も団長も、調査後は報告や損害の確認に遺族への弔問などでいつもより一層忙しいはずなのに。
「珍しいな、お前が一般兵の見舞いとは」
リヴァイ兵長がエルヴィン団長の方に向き直り話しかける。
負傷しているみんなのところにまわっている訳ではないのか?
「エマ程の重傷は今回他にいないからな。
いつもだって行きたいがなかなか時間が取れないから分隊長に任せている」
「そうか。そういう事にしておこう。
俺はまだやる事が残ってるから部屋に戻るが、エルヴィン。
変な気を起こすんじゃねぇぞ。相手は身動き取れねぇんだからな」
「ははは、さすがにそれは大丈夫だ。心配には及ばん」
笑顔で返すエルヴィン団長を横目に、なんと言って良いかわからず黙っていると、そのまま兵長は退室した。