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白銀の女神[リヴァイ・エルヴィン]

第9章 初陣の傷跡



どれくらい寝たんだろう。
もう日が暮れている。
どんなことがあっても、陽はまた登るしまた沈む。
時は待ってはくれない。


人の気配を感じその方向に目をやると、


「…リヴァイ兵長…」


兵長は医務室の脇の椅子に腰掛け微睡んでいた。


「…あ?起きたか…」


「すみません、起こしてしまって」


「構わん。どうせお前が起きるのを待ってたんだ」


なんだろう。
ハンジさんから話を聞いたのかな。
叱咤されるか。いや、それだけではすまない。
取り返しが付かない。
注意されてたのに、私のせいでレイドという優秀な兵士を失った。


「話は聞いた。まぁ、ハンジとお前が話してるのを聞いちまったってのが正しいか」


「そうだったんですか。ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。
兵長にも日頃指摘されていたのに…私のせいです」


「まぁいい。その死んだレイドってやつのことをお前はどう思ってたんだ」



「…同期です。大事な」


それなら…と兵長はポケットから何かを出した。
それは自由の翼だった。


「遺体は持ち帰れなかったからな。
だがこれがレイドの生きた証だ。
大事な同期ならお前がそいつの意思を継げ。
俺の班に入れるよう強くなれ」


そして自由の翼を渡されると、ボロボロと涙が溢れて止まらなかった。
さっきまでは涙なんて出なかったのに。

兵長がフワリと抱きしめてくれ、堪らず泣いた。
子供のように声を出して泣いた。
せっかく兵長が折れた肋骨が痛まないようにと優しく抱きしめてくれていたのに、力一杯兵長に抱きつきワンワン泣いた。


兵長はずっと優しく抱きしめてくれていた。
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