第4章 二つ目の新しい仕事
訓練兵時代にも無かった話ではないが、一番良く話すレイドがいつも間に入ってくれてた。
彼も私も同じで、そういうことに関心を持っていないことを充分に理解してくれているのだ。
「おい、エマ」
この声は…リヴァイ兵長。
私とレイドは立ち上がって敬礼する。
「構わん、食事を続けろ。エマ、食事が終わったら俺の執務室へ来い」
そう言うと兵長は踵を返しその場を後にした。
兵長が食堂から出たのを見送って食事を続けたが、薄いスープの味がさらに感じられなくなった。
何かヘマでもしたか。思い当たることは何もない。
レイドが隣でリヴァイ兵長を近くで見られたことを興奮して話しているが、全く話が入ってこない。
食事をかき込んで急いでリヴァイ兵長の執務室へ向かった。
「エマ=ライトニングです」
ノックして名乗ると入るよう促された。 多分悲壮な顔をしていたに違いない。
「なんだそのクソが漏れそうなツラは。
エルヴィンがいたくお前が優秀だと言ってたからな、時間外にすまねぇが俺の方も手伝ってもらえるか」
なんだ、色々考えを巡らして損をした。
それならそうと言ってくれれば良かったのに。
拍子抜けしたがホッとした。
落ち着いてよく周りを見るとリヴァイ兵長の執務室はとても清潔にされているのがわかった。
ここであの時…と以前聞いた嬌声を思い出しかけたが、やめた。
エルヴィン団長の時と同じ要領で進めていく。
ひと段落ついたところで兵長が
「もう充分だ。良くやった」
と言ってくれた。
ではこれで…と退室しようと立ち上がると、
「待て。茶を淹れてやるから付き合え」
ビックリしながらも、私が淹れます、と進言したが次からで良いと言われた。
次?があるのか??
兵長が淹れてくれたお茶は私が淹れたものと違って凄く香りが立って美味しかった。
「美味しいですね、すごく良い香り。
どうやって淹れてらっしゃるんですか?」
「大したことはない。時間をキッチリ計ることだ」