第38章 ●戦いの後●
「…お前はこれからどうしたい?」
「え?これから?」
突然の質問に私は聞き返した。
「漠然と聞きすぎたな。ウォールマリアを奪還できたら、その後お前はどうしたい??」
うーん…と私は少しの間考えた。
エレンが硬質化の能力を手に入れた事で、ウォールマリア、シガンシナ区のエレンの生家への道筋がようやく立った。
いよいよ、巨人の謎が明らかになるときが間近に迫っているのだ。
そうして戦いの日々が終われば、私達兵士はもうお役御免になる者も多いのではないだろうか。
「そうですねぇ。一通り壁の外をこの眼で見たら、あとは適当な場所で静かに暮らしたいですかねぇ」
相変わらず私は自身の中身の無さに恥ずかしくなったが、これも私なのだ。
そして続けた。
「それに…兵長がいればそれ以上は何も」
そう言って私は兵長の方を向き、ニッと笑った。
「…はっ。可愛い事言ってくれるじゃねぇか。…そうだな。それも悪くねぇな」
兵長はそう言うと紅茶の入ったカップを置き、私に口付けた。
紅茶の香りがする。
なんて穏やかで幸せな気持ちになれるんだろう。
ウォールマリアを奪還したら、こんな日々が続くんだろうか。