第38章 ●戦いの後●
兵長は私をベッドに座らせた。
王都の臨時用の兵舎は簡易的な部屋なのでソファなどは無かった。
兵長は私に紅茶を淹れてくれた。
「エマよ…、エルヴィンに絆されんじゃねぇぞ。
そうそう俺も都合良く現れられんからな」
兵長はまだ機嫌が悪く、低い声で言った。
「すみません。けど、あれは団長の軽口だと思いますよ。リップサービス的な」
「あぁ?お前、エルヴィンがわざわざあんなところに来る訳ねぇだろ。そういうところに付け入られるんだよ」
私はあまり気にしていなかったが、兵長に言われると確かにそうなのかもしれない。
なんとなく自意識過剰な気がして、そう思わないようにしていたが。
「そっか…。すみません…」
私は素直に謝った。
兵長はチッと舌打ちし、その話はそれ以上されなかった。