第38章 ●戦いの後●
振り向くとそこにいつも以上に眉間にシワを寄せた兵長が立っていた。
「ったく…。油断も隙もありゃしねぇ。
おい、エルヴィン。こいつのやっている事は急ぎじゃ無いんだろう」
「ああ、そうだ。急ぎじゃ無い」
「ならこいつは連れてくぞ。女が必要なら俺が娼館から口の固てぇ女を見繕ってきてやる。好みを言え」
「わかったわかった、リヴァイ。
そう捲し立てるな」
兵長は結構な剣幕で団長を捲し立てた。
団長はそんな兵長を宥め、
「エマ、この重たい男に疲れたら私の所にいつでも来ると良い」
団長は笑顔でそう言うと、左手をひらひらと揺らし去っていった。
「おい。行くぞ」
団長が去ると、私は兵長にガシッと手首を掴まれ、そのまま兵舎の兵長の部屋まで連行されていった。