第38章 ●戦いの後●
「あ、団長、お疲れ様です。
大した事はしてません。
旗とか装飾品とかの細々した兵団の備品を片付けていただけですよ」
私が振り返ると、団長の姿がそこにあった。
「君は相変わらず仕事の虫だな。
今日くらいリヴァイとデートでもしてくればいいのに」
団長はそう言うといつものように優しい笑顔を見せた。
団長は憲兵団に囚われていた際に暴行を受け拷問されていた。
オルブド区でロッドレイス巨人を迎え撃った際にはまだ左眼が腫れていたが、今は元の端正な顔に戻っていた。
「兵長は兵団の皆と酒盛りしていると思いますよ、連れて行かれるのを見てましたから。あれで結構人気者ですからね」
ふふふっと笑い、作業を再開した。
「まぁこんな時まで仕事の虫なのはお互い様か」
そう言うと団長が私がやっている作業を手伝い出した。
「団長、ダメですよ。団長には団長しか出来ない仕事があるんですから。こんな誰でも出来る仕事は私に任せてください」
そう言って、私は団長の持っていた装飾品を取り上げた。
「全く…。リヴァイに君を譲ったからって君への気持ちが無くなった訳では無いんだがな。
こうして作業している間くらい一緒の時間を過ごさせてくれたっていいだろう」
また…、この人は…。
聞いてて恥ずかしくなるようなことをサラッと言ってのけるんだから…。
私が顔を赤らめて俯いて作業を再開すると、
「あぁ?ダメに決まってんだろうが」
後ろから鋭い声が飛んできた。
その声が誰のものかすぐにわかり、身体がビクンっと飛び跳ねた。