第37章 過去
ケニーの最後を見届けた私達は、すぐに兵団の元へ戻らず、その場に並んで腰を下ろした。
「エマよ…、お前の姓はライトニングだっただろう」
兵長は私に尋ねた。
「それは、地下街から私達母娘を連れ出した男の姓です。母からは、何があっても今後はその姓を名乗るよう言われました。アッカーマンを名乗ってはいけない、と」
「そうか…。俺も母さんから、ただのリヴァイとだけ言えと言われていた」
兵長は続けた。
「念の為聞いとくが、お前と俺は兄弟とかじゃあねぇよな」
兵長はポツリと呟いた。
「違います。兵長は本家で私は分家らしいです。それはケニーから聞きました。むしろミカサの方が血縁的には近いかも知れません」
私は答えた。
「それでお前、今までなんで黙ってやがった」
当然の質問をされた。
だが、これには単純な理由しか無かった。