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白銀の女神[リヴァイ・エルヴィン]

第37章 過去




「何にも知らねぇよ。
オイ、エマ…いい女になったじゃねぇか…
男でもできたか」


ケニーは変わらない口調で私の方を見た。
多分…もう、ケニーの体力は残り僅かだ。
話したい事は山程ある、がそれは兵長も同じだろう。


「ええ。できた。この人よ。
リヴァイ=アッカーマン」


私は端的に答えた。
僅かながら声が震えた。
こんな形で恋人を紹介することになるとは思わなかった。


「そうか…お前らデキてやがったのか…。
いいじゃねぇか、アッカーマン同士…。
ヨロシクやってくれよ…」


私の眼には涙がこみ上げ、なんとか溢れるのを堪えていた。
兵長は目を見開き、私とケニーを凝視した。

兵長はケニーに更に問いただした。



「俺の姓もアッカーマンらしいな。
…あんた…、母さんの何なんだ?」



兵長はいつになく動揺しているように見えた。…そう、余裕が無いという様子だった。


「ただの…、兄貴だよ…」


ケニーの息はいよいよ途切れ始めた。



「…なんであの時、俺を置いていった…」



兵長は絞り出すように、声を出して…
ケニーに尋ねた。
その顔はとても切なく、兵長の幼く見えがちな顔は置いてきぼりにされた子供のそれだった。



「…俺ぁ…、人の…親には…、なれねぇよ…」



ドンっっ!!!


ケニーは最後に兵長にそう言うと、兵長の胸に巨人になれる注射薬を押し当て…

そのまま息を引き取った。



兵長は、また置いていかれた…とでも言いたげな顔をしてケニーを見つめていた。


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