第36章 クーデターと硬質化
ガシャーーーーン!!!
大きな音がした。
リヴァイ兵長と一緒に音の発生源に向かうと、ハンジさんが何やら肩で息をしていた。
「いやぁ〜、ゴキブリがいてね」
「そうか。だが、今のお前の一撃で粉々に吹き飛んだだろ」
私達はなんとなく彼女の心情を察した。
その後、レイス家の秘密をエルヴィン団長に伝えに行くと言って、ハンジさんとモブリットさんはまた出て行った。
そして私達はレイス家の領地で落ち合うことを約束した。
しかし、更に状況は悪化した。
リーブス商会の会長、ディモ・リーブス氏が殺害され、その犯人としてエルヴィン団長が挙げられたのだった。
そして、調査兵団は皆拘束され、私達についても山狩りや検問で捉えようとされていた。
団長はどうしているだろう?
無事だろうか?
早く状況を変えなければ、エルヴィン団長は中央の豚どもの私欲の餌食になってしまう。
「エルヴィンが心配か?」
兵長が私に尋ねた。
私がエルヴィン団長の事を考えているのが伝わったのだろう。
「…はい…」
「そりゃそうだろう。別にアイツの事を考えてるお前を責めたつもりじゃねえ。アイツなら大丈夫だ。のんびりしてる暇はねぇが、色々策を講じてる筈だ。加えて得意の博打でも披露してるだろう」
私の邪推に先回りするように、兵長は私を気遣ってくれた。
私は兵長のこういうところが好きなのだ。