第36章 クーデターと硬質化
その後、替玉を拉致したリーブス氏の協力を得て中央憲兵のサネスを幽閉し、拷問した。
ニック司祭を拷問したのがこのサネスだったからだ。
サネスから得られた情報はレイス家が本物の王であり、ヒストリアがレイス家の末裔だというものだった。
そしてエレンとヒストリアもロッド・レイスの元にいるだろう、とのことだった。
更にハンジさんは、エレンの記憶から推測するに知性のある巨人を無垢の巨人が食べると、知性のある巨人の能力を継承するのでは無いか、と話した。
つまり、エレンはヒストリアに喰わせる為に連れて行かれた、ということだ。
王家の血に何か秘密があるようだが、今の段階でそこまでしか推測出来なかった。
ハンジさん達がサネス達と話をしている間、私と兵長は二人きりになった。
「奇襲を受けた相手が、ケニーだった」
「えっっ……!?」
「奴が何故中央憲兵にいるのかわからねえがな…」
ケニー…。
久々にその名前を耳にした。
私と兵長は別々にだが、ケニーに処世術を教わった。
「…それは…厄介ですね…」
「あぁ」
ここに来てケニーと対峙することになるとは。
だが、ここで怯む訳にはいかない。私達の仲間はケニー率いる中央憲兵によって殺され、兵長も殺されかけていたのだから。
殺さなければ殺される。
場所がたまたま壁の中ってだけで、この世界はいつもと変わりない。