第36章 クーデターと硬質化
「ダメだ!一旦引く!!!」
兵長は無理に追いかけようとするミカサを制止した。
ハンジさん達と別れた後、私達はエレンとヒストリアをピクシス司令の元へ送り届けるという作戦を決行した。
狙われる事を前提に、替玉としてジャンとアルミンをそれぞれエレンとヒストリアに変装させていた。
案の定、替玉の二人が拉致されたがこちらは簡単に制圧できた。
問題は本物のエレン達の方だった。
本物のエレン達を運ぶ荷馬車に、私以外のハンジ班の皆が護衛兼監視の為に付いていた。
人数が多いと目立つということで、私は替玉班の104期達のまとめ役となっていた。
替玉を拉致した奴らは素人で簡単に制圧出来た。兵長もそれを見越し、制圧前に本物の方に移動していた。
替玉班は制圧が終わり、私に指示を求めた。
「兵長達と合流しよう。
あと、皆に兵長からの伝言がある。
…これからは人と戦うことになる。と。
これは私の考えなんだけど、相手が巨人だろうが人だろうが迷ったら負ける。躊躇うな」
皆、私の言葉を唖然と聞いていた。
私達替玉班が本物班に合流しようと向かっていると、エレンとヒストリアを乗せた荷馬車を兵長が追いかけている姿が見えた。
さらにその後ろから兵長を狙う中央憲兵の姿も見えた。
「兵長!?…マズい、皆で援護だ!」
私はこの状況を察知し皆を急き立てた。
私と兵長で兵長を追っていた中央憲兵を返り討ちにした。
「エレンとヒストリアが拉致された。もう三人やられた」
兵長は立体機動で移動しながら私達に言った。
そんな…
三人とも…
私は一瞬同様したが、すぐに意識を戻し集中した。
だが、やはり対人戦闘の武器を持ち訓練をしている中央憲兵には敵わず、エレンとヒストリアは拐われたのだった。