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白銀の女神[リヴァイ・エルヴィン]

第3章 新しい仕事


「リヴァイ、いつもノックしろと言っているだろう。どうした」


全く何事も無かったかのようにエルヴィン団長は返す。


「この書類にお前のサインが必要だ。あと班編成についても相談がある」


そういうとリヴァイ兵長は私の方に視線をやった。出て行けということだろう。


「そうか。…いや、ちょうど良かった。急に明日から私は一週間ほど王都へ出向かなければならなくなったんだ。
エマ、私が王都から戻ってくるまで夜はゆっくり過ごすと良い」


エルヴィン団長はそう言うとソファから立ち上がった。


「では、私は失礼いたします」


私もすぐさま立ち上がり、そう言って茶器を下げ執務室を後にした。


危なかった。
リヴァイ兵長が入ってこなければどうなってた?
キスされようとしてたのか?
いや、きっと揶揄われているんだろう。
エルヴィン団長が一週間不在なのはせめてもの救いかもしれない。




ーーーーーーー


「随分アイツのこと気に入ってるみたいじゃねぇか。
今まで茶や兵務の手伝いを口実にお前に近づこうとする奴を散々断ってただろうが」


エマが執務室を出た後、俺はソファに、エルヴィンは執務机の椅子に座りなおした。


「彼女は優秀だ、身体能力だけでなく状況把握、伝達の仕方も的確だ。書類仕事も日々速くなっている。助かっているのは事実だ」


「仕事なら他のやつでもできる。わざわざアイツを部屋に寄越す必要ねぇだろうが」


「エマが気になるのか?いつもはお互い様だと言って俺が誰を抱こうが何も気にしていなかったじゃないか。
エマは二週間ほど前にお前の部屋から聞こえた嬌声に固まってたところを見つけてな。
そのまま帰すわけにもいかないから私の部屋に呼んだんだ。それからは書類仕事とお茶に付き合ってもらってるだけだよ。お前のお陰だ」



二週間前…あぁあの女か…
ちっ、くだらねぇ。
何もせずに帰しときゃ良かった。


「お前の言う通り、お前が何をしようが関係ねぇ。
だがそんなに入れ込む程か。見た目は多少良いか知らんがまだガキだ」


「エマは優秀な兵士だ。周りを細かく観察しているし、兵団の為、人類の為と言えばその身も捨てられる。
あの年齢にしては珍しくな。彼女は兵団、人類にとって必要だ。
それを率いる私にも、だ」
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