第3章 新しい仕事
あれから私は一日置きで団長の執務室にお邪魔し、簡単な書類仕事をさせてもらった後お茶をするようになって二週間ほど経った。
毎日は目立つだろうと隔日にした。
書類仕事の際はそれぞれ無言で処理を進めていき最低限の事務的な会話しか無いが、お茶を飲む時は他愛ない世間話をする。
その日の訓練の内容やハンジさんとモブリットさんのやり取りなんかを出来るだけ盛りすぎないように面白く話すようにした。
団長はいつも優しい笑顔で私の話を聞いていた。
「エマが手伝ってくれて本当に助かっているよ。エマが来てくれる日は、お茶の時間までにある程度終わるようになったからな。
それに訓練の様子やハンジの研究の進捗もわかりやすく話してくれるから、私が直接見に行けなくても様子が手に取るようにわかる」
「いえ、エルヴィン団長の指示と教え方が的確なだけで私なんてそんな…」
「君はいつも自分を卑下しがちだな。私は立場上個々の能力の正確な把握と活かし方については結構自信を持っているんだが。
その私が君を褒めてもダメかい?」
ぐっ…と言葉に詰まった。
いつも他愛ない話しかしていなかったのに、初めてこの部屋に来た時と同じようにまた、ジッ…と目を見つめられる。
堪らず逸らそうと顔をカップの方に向けようとするが動かせない。
エルヴィン団長の大きな右手が私の左頰に添えられ動かせないのだ。
また…この人はこんなことをして…
早く手をどけてもらわないとまた顔が紅く…
でもこの目に見つめられると動けない…
エルヴィン団長の顔が近づいてきた気がした瞬間…
「おい、お前はいつからそんなガキが趣味になった」
ビックリして扉の方を見るとリヴァイ兵長がこちらを蔑むように見ながら立っていた。