第29章 奪還作戦2
意図がわからず皆狼狽えた。
私も意図はわからないが、団長の指示が最善策と判断して皆を煽った。
「団長の指示通りに!そのまま進め!!」
そうして鎧を追い越し、巨人を引き連れたまま距離を取ったところで団長は信煙弾を放ったかと思えば転回し、鎧の方へと向かって馬を駆けさせた。
えっ…??
どういうこと??
まさか…
「最高速度で走れ!!!」
ほぼ叫びに近い声で私は指示を出した。
私達が引き連れていた巨人に加え、信煙弾に引き寄せられた巨人が私達を追ってくる。
後ろでモタモタしていた憲兵団が巨人に捕らえられたであろう叫び声が飛び交う。
鎧の横を併走していた駐屯兵が、巨人を引き連れていることに気づいた。
鎧の上にいた104期達に馬に移るよう指示を出してくれたようだった。
「そのまま前進!駆け抜けろ!!!」
団長の指示が飛ぶ。
巨人と巨人がぶつかり合うこととなった。
駆け抜けた私達と鎧を追っていた者達と104期が距離を取って、鎧達に巨人が群がる様子を唖然と見ていた。
「なんだよこれは…地獄かよ…」
ジャンが呟いた。