第25章 リヴァイ班
壁外調査が団長の号令と共に始まった。
昨晩の兵長との会話が若干頭を掠めたものの、すぐにそれを打ち消した。
余計な事を考えていると命取りだ。
長距離索敵陣形が展開され、エレンを囲むように皆と並走する。
しばらくすると、巨人遭遇の信煙弾がチラホラ目に入った。
前線の仲間達は無事だろうか…。
右翼後方から巨人の接近を知らされるが、団長の示す信煙弾は進行方向を変えずそのままだ。
やがて巨大樹の森が見えてきた。
中列のみこのまま森に入れという指示だった。
精鋭揃いのリヴァイ班だが、作戦の意図が皆掴めず一気に空気がビリビリと張り詰め始めた。
「ォィォィ…どういう事なんだ…」
オルオの声が漏れ聞こえる。
森の中だと木に視界が遮られ、もしも急に巨人が現れた際に対応出来ない可能性が非常に高まる。移動中であれば尚更だ。
エルド・グンタ・ペトラも顔色が良くない。
皆この状況が全く理解出来ないのだろう。
私も、勿論緊張はするが、エルヴィン団長やリヴァイ兵長の事だ、何か考えがある筈だ。無駄に私達を失うような作戦をする筈がない。
どっ、どっ、どっ、どっ…
大きな地響きのような足音から、奇行種と思われる巨人が近づいて来ているのがわかった。
「お前ら剣を抜け。それが姿を現すなら一瞬だ」