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白銀の女神[リヴァイ・エルヴィン]

第2章 ●嬌声●


エルヴィン団長は少し困ったように笑って


「なにも恋愛が禁止なわけじゃないからそんなに意固地にならなくてもいい。それに悪いのはリヴァイだ。
君は一切悪くないし、私もこうして仕事の合間のひと時を君と過ごすことが出来て嬉しいよ。迷惑だなんて言わないでくれ」


ジッ…とブルーの瞳が私を見つめてくる。
透き通るブルーの瞳の奥は深すぎて一体どこに本心があるのかわかりそうもない。
せっかく落ち着いた心臓がまた早く脈打つ。


…この人は天性の人たらしだ。
こんな人心掌握術に長けた人は他にいるだろうか。
これこそがこの人が団長たる所以ではないか。


ジッと目を見つめられ、堪らず顔ごとカップに向けあからさまに逸らしてしまう。自分の顔が紅くなっているのがわかる。
ズズ…と紅茶を飲み干し、片付けようとするとその手を止められ


「いいよエマ、それよりまたこの時間くらいに君の気が向いた時で良いからお茶に付き合ってくれると嬉しいんだがな」


団長からそう言われて断れる訳がない。
しかし一介の新兵である私がお茶の為に出入りしていいものなのだろうか。
またさらに顔が紅くなっているのがわかる。


普段のエルヴィン団長は理性と知性の塊で兵団運営の事だけを最優先にしている印象なのに、この距離の近さにビックリしてしまった。この人はこうしてたくさんの人たちの心を掴んできたんだろう。


「了解しました。ですが、お茶は私がお入れします。お茶だけでなく団長のお仕事もなにか手伝える事がありましたらやらせてください。ご馳走になるばかりでは申し訳ないですので」

可愛げのない返し方をしたが、役に立ちたいという思いは本心である。少しでも平静を装うとしてなんとか言葉を絞り出した。


「わかった。じゃあ頼まれてくれるか。今日は遅くなったからもう部屋へ戻って休みなさい。リヴァイの部屋の前を通ってももう問題無いだろう」


あぁそうだった。そもそもあの声が原因で私はここにいるんだった。
部屋を出る前に敬礼し、団長はああ言ったが来た道とは別に回り道をして兵舎へ戻った。

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