第24章 ●壁外調査前●
「エマ…だいぶ顔色が良くなったし、肉付きも良くなった。ようやく本調子だな」
「あの…肉付きと言われるのは、ちょっと恥ずかしいです…。
けど、団長のお陰です」
いつも団長の部屋に着くとお互い順番にシャワーを浴びる。
ベッドの上で二人共裸でゴロゴロと寝転びながら、互いの体温を感じ合う。
壁外調査前だからか、今日は特にお互いの体温が高いような気がした。
「エマ、リヴァイに会うのは平気か?」
ふいに問われ、一瞬目が揺らいだが悟られないようまっすぐ目を見て、
「もう済んだ事です。問題ありません」
すると団長は、見た事ない苦い顔をしながら、
「俺は正直リヴァイに会わせたくない。
君を旧本部へも行かせたくない。
君をこのまま俺の部屋に閉じ込めておきたい。
作戦の為にリヴァイのところへ行かせる決定は俺自身がしたのに…」
なんだか駄々を捏ねる子供のように見えて、つい団長の頭を撫でた。
団長はその手を払う事なく、もっと撫でてと言わんばかりに私の胸に顔を埋めてきた。
「俺はこれだけ君を抱いて、君の事が好きだというのに、それでも自分の夢を諦められない。
夢の方が大事なんだ。酷い男だろ。
そんな自分に心底嫌気がする。
仲間の命を切り捨てる時だってある。
死んだ方が楽だと何度も思って…」
団長はポツリポツリ言葉を発し、普段兵団内では絶対に見せない顔を私に見せている。
団長の頭を撫でながら、
「…けど、団長は少なくとも私の事を救ってくださいました。
私に役割を与え、私の事を大事に想ってくださって…
私にとって大事な人です…」
そこまで言って撫でていた手を団長の身体へ回し、キュッ、と抱きしめた。