第22章 旧調査兵団本部
エレンは素直な子で、どこにでもいるような普通の15歳の男の子に見えた。
「エマさん、俺、トロスト区でエマさんの姿を見て憧れてたんです!」
「ありがとう、恥ずかしいな。
それに、憧れてもらってありがたいけど、実際の私は口下手で愛想も悪いし、がっかりしたんじゃないかな」
「そんなこと無いです!
近くで見たらすげー美人だし、本当にあの鬼神なのかなって…」
そこまで言ってエレンはハッとして口を閉ざした。
マズいことを言ってしまった…というような感じで俯いてしまった。
「鬼神ね…皆上手いこと言うよね。
ある意味兵長よりも私の方が鬼かもしれない。
兵長達幹部は常に冷静だからね」
そう言ってエレンに向かって笑うと、エレンもそれに応えるようにはにかんだ。
「さ、明日もハンジさんの実験があるんでしょ?
そろそろ休もうか。私は明日ここを離れるけど、また何かあれば遠慮なく言ってね」
「はい!ありがとうございます!」
そうしてエレンとの会話を終えて、今日の寝泊りする部屋に向かっている時だった。
灯りの漏れた部屋をふと覗くと、リヴァイ兵長とレイラがキスをしているのが見えた。
「………!!!」
バッと目を逸らし、その場を後にする。
石造りなので歩く音がどうしても消せない。
二人に気づかれただろうか。