第19章 ●報復の続き●
「おい、エマよ。
今日はこの後俺の執務室へ来い。
エルヴィンには言ってある」
訓練後、リヴァイ兵長から呼び出された。
サッと片付けをし、兵長の執務室へ向かう。
「座れ」
ソファに座るよう指示され、リヴァイ兵長と横並びでソファに座る形になった。
ピリッとした空気が張り詰める中、兵長が前を向いたままいつもより幾分低い声で、
「エマ…お前…いい加減にしろ。
…お前はお前が思ってるほど強くない。
…ヤツの名前を言え」
私は黙り込んだ。
兵長はフゥ、と一息吐き、
「…お前が言わねぇなら俺が言ってやる。
…フロイドだな……」
兵長の口からフロイドの名前が出て、身体は強張り微かに震えた。
「ここからはあくまで俺のカンだが…
夜会の時の犯人もアイツだろう。
確か死んだお前の同期の、レイドの兄貴だったな。おおかたその報復ってところか」
リヴァイ兵長は続けた。
ずん、と空気が重くなり息が上手く出来ていない気がする。
「…お前があまりに様子がおかしいから…後をつけた。
…厩舎の裏でヤってるとこも…
だがあれは……
…同意があるようには見えなかった…」
ーーー見られていた。
よりにもよって兵長に…ーーー
絶望感で今すぐにでも消えてしまいたい衝動に駆られた。
身体の震えが大きくなり止まらない。