第3章 武器持たぬ狙撃者
意気揚々と旅立ったおそ松。しかし、ものの数十分経ったあたりであっけなく膝をついた。その理由は
「はぁ~~~~。腹減ったぁ」
変身の練習も狩りの練習も、サボってきたおそ松。ここに来てその代償がのし掛かる。
「やっぱ、ちゃんとしないとだめかぁ~…。狩りの仕方が、分からないよ~。サボんなきゃよかった。仕方ない、川の水でも飲むか」
川を探し始めるおそ松。だが、川すら見つからない。
「だー、もう!!腹減って、動けねぇよ!!ストーグロック、遠すぎ!!」
旅をやめてしまおうかとも思ったが、母親のことを考えると、それは出来なかった。
「乗り掛かった舟だからな…」
再び歩き出すおそ松。腹の音がこだましそうなほど鳴っている。そんな時、一匹の獣系モンスターが現れた。
「おっ、ファングラビットじゃん!」
ファングラビットはウサギだが、大人の熊ほどの大きさだ。
ファングラビットもおそ松に気付き、向かってくる。側に落ちていた手ごろな石を拾い、投げつけた。が、当たらない。
「うおっ、やっべ!!」
おそ松がロック鳥になろうとした時。
「退いて!!僕の獲物だよ!」
声がした方を見ると、小人族の男が走ってきて弓を構え、矢を放った。矢は見事にファングラビットの眉間に深々と刺さった。
「おおっ!!すげー!!」
「あは!ねぇねぇ、これかなりの大物だからさ。僕一人では食べきれないから、一緒にどうかな?」
「え?!いいのか?」
「うん!」
「サンキュー!!腹減って、困ってたんだよー!俺、おそ松」
「十四松だよ!」
火は何度となく起こしていたおそ松は、手早く火を起こした。
「へぇ。手際、いいね」
「へへーん」
「おそ松は、何処から来たの?」
「テリ・ドルーク」
「何、それ?知らない」
「俺の父さんが名付けた場所で、異種族同志の夫婦が暮らしてるんだ」
「へぇー。そんなとこ、あるんだね」
「俺は、ロック鳥と人間のハーフなんだぜ」
すると十四松は、飛び上がって驚いた。
「えええええ?!人間がここにいるの?!すっごいね!」
「でも、その母さんが病気になってさ。それを治してもらうために、ゴールドドラゴンに会いに行くんだよ」
「ゴールドドラゴンに?!すっごいね!!僕もついて行っていい?僕の弓矢は、百発百中なんだ!絶対はずさないよ!」