第3章 武器持たぬ狙撃者
「マジか、スッゲー!!おし、十四松がいれば、百人力だぜ!」
「行きマッスルマッスルー!ハッスルハッスルー!」
「そういえばさ。十四松は何の種族なわけよ?小人族なのは分かるけど、弓矢を持つ種族って、いたっけな?」
「僕ね、レプリコーンなんだ」
「ふーん。レプリコーンて武器、持つんだ?」
「ううん、普通は持たないよ。でも僕の場合、両親の魔法が暴発して子供たちに大怪我させちゃって、両親は禁固刑になって、僕は村を追い出されたから、身を守るために教わったんだ。その師匠もいなくなっちゃった。あはは」
十四松は笑っていたが、その表情は悲しげだった。恐らくおそ松を心配させないように、明るく振る舞ったのだろう。おそ松はあえてそれについて何も言わず、十四松に合わせた。
「じゃあさ、そういうのがない世界になるように、ゴールドドラゴンにお願いしようぜ!ついでにお前の師匠も、見つかるといいな」
すると十四松の顔が明るくなった。
「ありが盗塁王!僕ね、おそ松のためにいっぱい頑張るよ!」
「おう!よろしくな!」
「あいあい!」
十四松を仲間にしたおそ松。歩きながらレプリコーン族のことや十四松のことを聞いた。
「レプリコーン族はね、森に住む小人族で、さっき言ったように武器は持たないんだ。いつもこんな緑色のダボダボの上着を羽織っていてさ、いたずら好きで宙に浮くこともできるんだよ。父さんと母さんはレプリコーン族には珍しく、魔法が使えたんだ。それも、色んな魔法をね。大魔法使いって呼ばれてたよ。でも、それがいけなかったんだね。調子に乗っちゃったんだ。子供たちに見せびらかすために、魔法を使ってさ。そしたら魔法が暴走して、子供たちに大怪我させちゃって。僕は怖くて、それをただ見ていることしか出来なかった。両親は牢屋に入れられて、僕は村を追い出された。」
「十四松は魔法を使えるのか?」
「…うん。けど、使わないって決めたんだ。でも、何をしたらいいのか分からなくてさまよってたら、森エルフに会ってさ。そのエルフも魔法を捨てたらしくて、弓矢を使ってたんだ。その腕前が凄くてさ!僕、そのエルフの弟子になったんだ。でも、僕が師匠みたいに百発百中の腕前になった時、いなくなっちゃった」
「そうか…。レプリコーンは元々武器を持たない。だから武器持たぬ狙撃者、か」
「え?何、それ?」