第18章 松蔵の故郷
「これじゃ、なかなか死ねんわい」
「いいか、婆!せめて俺たちが戻るまでくたばんじゃねぇぞ!!」
「ふぉふぉふぉ。心優しき残虐なる者よ、優しいゆえに残虐よな」
「どういう意味だ?!」
「わしはもう1500年以上は生きておる。まだ生きろと言うのかぇ?」
「……!!そんなにか…」
「もうそろそろ休ませてもらいたいんじゃがな」
一松はしばらく考えた。そして結論を出す。
「そんなに生きてんなら、あと数年生きたって同じだろうが!俺たちが子供の顔を見せに来てやるから、それまで生きてろよ!!」
そう言って長老を抱き締めた。
「あんた、俺の死んだ婆ちゃんにそっくりなんだよ。病気になったからって理由で黒魔術の生け贄にされたんだ。だから俺は、闇エルフの洞窟を抜け出したんだ」
「そうだったのか」
その夜、おそ松たちは長老の家で休むことになった。さっきの静電気騒ぎでくっつけずにいた○○は、今はその分を取り戻すようにカラ松にくっついている。
「ねぇ、カラぴ」
「んー?なんだい、ハニー」
「目を開けるようになったら一番に、何が見たい?」
「お前の顔。何より先に、○○の顔が見たい。ああ、顔だけじゃないな。お前の全てが見たい」
ギュッとカラ松を抱き締める。カラ松もまた○○を抱き締め返す。
「愛してるわ」
「俺もだ、マイリル○○」
一方おそ松もトト子を抱き締めていた。
「トト子…」
「おそ松くん……」
唇を重ね、空を見上げる。満天の星空がそこにはあった。
「きれいだな」
「うん。とっても」
「この星空に誓うよ。君を幸せにするって」
「おそ松くん………」
みるみる真っ赤になるトト子。次の瞬間。
「やっだーー、もう!!」
バッチーーーーン!!トト子の渾身の突きが炸裂した。
「おわあああ!!」
座っていた丸太から落ちるおそ松。
「いってーー!!」
「ごめんなさい、おそ松くん!!つい…」
「か………っ!かわいいー!!やっぱ最高だよ、トト子は!!」
「………でっしょーーーー?!」
「ごるぁ、てめぇら!!とっとと寝ろ!!明日出発だろうが!!」
「うわー。やだね、童貞の嫉妬は」
「っるせぇ、クソリーダー!」
怒るチョロ松を尻目にトト子と手をつないで寝床に入った。