第18章 松蔵の故郷
歩くにつれ、ロック鳥の数が増えてきた。近くなってきたと思っていると、一羽が目の前に降り立った。
「何者だ、お前たち?」
「松野おそ松!!」
「松野……?………!!!松蔵の息子か?!」
「はい!」
「まさか、ストーグロックに行くのか?」
「そのまさかでっす!」
すると男は感嘆の声をあげ、おそ松の肩をバンバン叩いた。
「そうかぁ!ついに来たか!!俺たちの村まで案内してやろう!」
そう言って歩き出す男についていくおそ松たち。男の言うように村はすぐ見えてきた。
「あれが父さんの故郷……」
「一足先に長老を呼んでくるから、お前たちも早く来いよ!」
走っていく男を見送り、おそ松たちは少し足を早めた。村に入ると老婆がやってきた。
「ほう。若き日の松蔵に、そっくりだわい。よくぞ来た、新たなる翼と6つの光よ。あと1つは神が遣わし導き子か。ストーグロックへ行く者は、必ず出会う相手じゃ」
そしておそ松たちを一人ずつ眺めた。
「これはまた、面白い組み合わせじゃな。お前さんが森を統べる王族、お前さんが心優しき残虐なる者、お前さんが武器を持たぬ狙撃者、お前さんが閉目のの可視者、お前さんが悲しき鬼女、お前さんが森の守護者じゃな。まさか生きているうちに言い伝えの当事者に会えるとは。長生きも悪いことばかりではないのぅ」
やがてたくさんのごちそうが運ばれてきた。
「さあ、たんと食べるがよいぞ」
「いっただっきまーーーす!!」
早速パクつくおそ松たち。
「おお、うまい!」
「ふぉふぉふぉ。慌てんでも、まだまだあるぞい」
「これ、何の肉?」
「ふぉふぉf…………」
「……え?」
「い、いや、だから!何の肉?!」
「ほれ、もっと食べなさい」
「何の肉ーーーー?!」
「……仕方ないのぅ。それはサーベルタイガーの肉じゃ」
「サーベルタイガーって、こんなにうまいのか?!」
長老はやれやれとため息をつく。
「うまいがゆえに、サーベルタイガーの肉を求めて狩る愚か者が出てくる。お前さんたちを疑うわけではないが、そういうことがあるゆえに言いたくなかったのじゃ」
「サーベルタイガーも苦労してるんだな」
「じゃからこそ、剣のような鋭い牙と俊敏な移動能力を持っておるのじゃ」
「ありがとう、サーベルタイガー。お前の命は俺と共にある」
「クソ松、うぜぇ」