第17章 大海原へ
「タイタン、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。前にもこうして運んだことがあるからな」
「へえ、そうなんだ?」
「それは美しい目をした男だった。たった一人でここまで来たんだ」
「んで、どうなったん?」
「帰って来なかった」
「え……」
「だがあの時、不思議な光がこの世界を包み込んだから、ストーグロックにはたどり着けたんだろう」
「だったらなぜ帰って来なかったんだろう?」
「そこまでは分からん」
「見て!向こう岸に着いたわ!」
タイタンは箱を下ろし、おそ松たちを引っ張り出した。
「ありが盗塁王!!ポリアフによろしクールダウン」
「ああ。十四松、戻ったらあの街に住めよ。みんな歓迎すると思うぜ」
「考えてみマッスル!」
「なあ、タイタン。一人で来た男は、クラーケンに襲われなかったのか?」
「その時クラーケンは、まだここにはいなかったんだ」
「そうか」
「よぅし、いっくぞー!!」
「「おーー!!」」
見送るタイタンに手を振って、おそ松たちはストーグロックへ向かって歩き出した。
「おそ松くん」
「なに、トト子ちゃん」
「手、つなご?」
「あ、う、うん!!」
照れ臭そうにトト子と手を繋ぐおそ松。カラ松はというと、ずっと○○の肩を抱いている。
「ちぇっ。すっかり夫婦気取りだな」
「○したい!」
「でも石にはなりたくないよね」
「………!いいこと考えた」
一松はにやりと笑うと、ぼそぼそとつぶやいた。すると…。
「いった!!」
「痛ーーーー!!」
バッと離れる二人。
「何、何?どうしたの?」
「静電気。ラムウの力を借りた」
「ははっ。やるぅ」
何度か手を伸ばしても、静電気が起こって手を繋ぐことも出来ない。そのうち
○○が泣き出した。
「カラぴに触れない……。やだぁ……。カラぴーー……ぐすっ」
「○○、泣かないでくれ。こうして隣にいるから。絶対離れないから」
「やだやだやだぁ!!あーーん!!」
「なかなぁいでぇー♪」
「……もう、カラぴったら。ふふっ。そういうところも大好き」
その様子を、なんとも言えない顔で見ているチョロ松たち。
「逆効果だったね…」
「……死ね、クソ松!!」