第18章 白銀 ※ ―ユキside―
もう二十歳を超えている。
もちろん、舞が初恋というわけではない。
それなのに、誰と付き合ってきたかは覚えていても、その時の自分の感情までは不思議と思い出せない。
恋愛という分野で抱いてきた、愛おしさだとか狂おしさだとかいう心情が、舞によって上書きされてしまったみたいに。
「挿れてほしい?」
「うん…」
「ふっ、可愛い…。俺も、もうしたい…」
ゴムを纏わせたそこを蜜壺に当て、グッと挿入させる。
難なく納まった陰茎は、舞の最奥を突いた。
高い声とともにビクンッと腰が跳ねる。
「ユキくんっ…」
こんなにも求めて止まない存在が、俺を欲している。
幸せだ、とても。
俺の生きる道の先に、華や彩りが見える。
温かな居場所も。
優しい音色も。
全部、舞がくれたものだ。
同じだけの幸せを、舞にも感じていてほしい。
それは、今だけの話ではでなくて―――
「やっ、待っ、はぁっ…」
「あー…っ、舞、舞っ?」
「うぅ…、うんっ?」
奥を目掛けて律動を加速させたあと、強く、強く、抱きしめた。
溢れる想いを全て的確に伝える手段がないことが、もどかしい。
腕の中に閉じ込めて、名前を呼んで、腰を揺さぶるたびに溢れる涙を唇で掬って、口付ける。
「この先も、ずっと一緒にいような」
舞との未来が欲しい。
長い人生だ。楽しいことばかりではない。
辛いことや悲しいことだって避けては通れない。
けれど俺たち二人なら、きっと超えていける。
舞のいない人生なんてもう考えられないし、考えたくもない。
舞の瞳は、一瞬見開かれた。
しかし絶頂はすぐそこまで迫っていたようで、舞は言葉にならない声を発しながら、俺の腕の中で果てた。