• テキストサイズ

淡雪ふわり【風強・ユキ】

第18章 白銀 ※ ―ユキside―



もう二十歳を超えている。
もちろん、舞が初恋というわけではない。
それなのに、誰と付き合ってきたかは覚えていても、その時の自分の感情までは不思議と思い出せない。
恋愛という分野で抱いてきた、愛おしさだとか狂おしさだとかいう心情が、舞によって上書きされてしまったみたいに。


「挿れてほしい?」

「うん…」

「ふっ、可愛い…。俺も、もうしたい…」

ゴムを纏わせたそこを蜜壺に当て、グッと挿入させる。
難なく納まった陰茎は、舞の最奥を突いた。
高い声とともにビクンッと腰が跳ねる。


「ユキくんっ…」


こんなにも求めて止まない存在が、俺を欲している。

幸せだ、とても。

俺の生きる道の先に、華や彩りが見える。
温かな居場所も。
優しい音色も。
全部、舞がくれたものだ。

同じだけの幸せを、舞にも感じていてほしい。
それは、今だけの話ではでなくて―――


「やっ、待っ、はぁっ…」

「あー…っ、舞、舞っ?」

「うぅ…、うんっ?」

奥を目掛けて律動を加速させたあと、強く、強く、抱きしめた。
溢れる想いを全て的確に伝える手段がないことが、もどかしい。
腕の中に閉じ込めて、名前を呼んで、腰を揺さぶるたびに溢れる涙を唇で掬って、口付ける。


「この先も、ずっと一緒にいような」


舞との未来が欲しい。


長い人生だ。楽しいことばかりではない。
辛いことや悲しいことだって避けては通れない。
けれど俺たち二人なら、きっと超えていける。
舞のいない人生なんてもう考えられないし、考えたくもない。


舞の瞳は、一瞬見開かれた。
しかし絶頂はすぐそこまで迫っていたようで、舞は言葉にならない声を発しながら、俺の腕の中で果てた。




/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp