第18章 白銀 ※ ―ユキside―
肌と肌が吸い付いて、今の俺の気持ちのように離れがたい。
このまま、永遠にこうしていられたら……。
「当たり前だよ。ずっとずーっと、そばにいるね」
さっきの俺の言葉への返答か。
それとも、舞には俺の心が読めるのか。
甘美なその声は、俺を捕らえて身動きを封じた。
こちらを見つめながら、ギュッと抱きついて照れたように笑う。
「今すぐは無理だけどさ。お互い仕事が軌道に乗ったら、一緒に暮らす?」
まだ大人の階段を上り始めたばかりの俺たち。
これから社会に揉まれることは必至。
今からが正念場だ。
目前のハードルをひとつずつ超えながら、真摯にゆっくりと、舞との関係を深めていきたい。
そのために俺が叶えたかった、願い。
「……ほんとに?」
「舞が良ければ、だけどな」
「いいに決まってる!そうなれたら、嬉しい」
「じゃあ、約束」
「うん」
そっと、ひとつ、キスを交わす。
生涯をともにすることを誓う時にも似た、ささやかな触れ合い。
いつかこの約束が果たされたあとも、努力を絶やすことなく日々を重ね、必ず一人前の男になるから。
その時はきっと、一生に一度の誓いのキスを、君に―――。