第9章 Don’t Die Away
「隊長……私は自分が許せないんです。隊はおろか、我が身ひとつ満足に管理できず……こうして周りに迷惑をかけてばかりで」
この二週間、ずっと考え続けていた。
隊士を護れなかった自分が、果たして副隊長の座に居座っていいのだろうか。副隊長を務める資格などないのではないか、と。
考えて、悩み続けて、それでも明確な結論を出せなかったその問いの答えが、皮肉にも自らが倒れるという醜態によって眼前に突きつけられる。
「私……副隊長を降ります」
今の脆い自分では、隊を護れるだけの力をつける前に隊を滅ぼしかねない。いくつもの葛藤の末に導きだした苦渋の決断だった。
「悪いがそれは認められない」
即座に響いた浮竹の返答に沙羅は耳を疑った。
「……なぜですか」
「先の一件で隊士たちは動揺している。破面への復讐に燃える者、恐怖に駆られる者――今の十三番隊はバラバラだ。ここでおまえを失えば、隊の統率は更に大きく乱れることになるだろう。責任者として看過できない」
「でも!」
「隊士たちにこれ以上の不安を与えるわけにはいかない」
浮竹が厳しい眼差しで放った台詞に言葉を失った。
その通りだ。就任したばかりの副隊長の辞職は隊士たちに大きな動揺を与えるだろう。一体この隊はどうなってしまうのか、と。
情けなさに下唇を噛む。自分では責任を取ったつもりでも、結局はそれもただの甘えでしかない。
自分はなんと弱いのか。
だけどその背に背負うものはあまりに大きい。逃げることも許されない。