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イケメン戦国 《短編集》

第6章 「寒い冬に」明智光秀


「行火も蝋燭(ろうそく)も付けずに何をしている」

私が座っている正面から声が聞こえたので振り返ってみると、
どこか呆れたような怒ってるような、
珍しく複雑な表情(かお)をしている光秀さんがいた

「えっ?!!いつの間に?!
お、お帰りなさい、光秀さん」
「あぁ。ただいま、舞」

普段なら誰にも見せない優しい笑顔をして、
光秀さんは返してくれた。

「お仕事は終わったんですか?」
「いや、明日にはまた出かける。
出かける前にお前に会いに来ただけだ」
「そ、そうですか……」

バッサリと言われてしまうことに少し悲しくなる。
だが仕事なのだ、仕方ない。

「そんな顔をするな、行きたくなくなるだろう」
「ふぇ……?」

突然顔が近付いて、
びっくりしている内に光秀さんの腕の中にいた。

「あ、あの…?」

私は身じろぎをして、
とにかく離れようと試みるもまったく動じない。
流石武将…一筋縄ではいかない。
とか思ってる場合ではないのだ。

「明日の早朝に出かけるんですよね?
少しは休んでから行ったほうが…」
「つれないな、
久々に帰ってきたというのに癒してくれないのか??」

うぅぅ耳元でそんなこと言われても…!!
私だって甘えたいが、
光秀さんはまだ仕事があるようだ。
ならばゆっくり休んで明日に備えてほしい。

「ほら、もう寝ましょう?」

私は光秀さんを褥へと行くよう促す。

「ほぅ…お前から誘って来るとはな。」
「違いますからっ!!」


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