第6章 「寒い冬に」明智光秀
安土にも寒い冬の季節がきた。
相変わらず私の愛してる人は多忙で、
安土にいること自体あまりない人だ。
表立って活躍している秀吉さんとは違って、
裏で暗躍して信長様の支えになっている。
似たもの同士のようで似ていない。
何を思い何を考えているのか分からない人だ。
……私はそんな人に一生一度の恋に落ちた。
今日も私は、
針子の仕事を相も変わらず夜になり暗い時間帯にでもやっていた。
そうしなければ、
あまり帰ってこない光秀さんが恋しくなってしまうから。
仕事上余計な迷惑をかける訳にはいかない。
私のことなど気にせず、
安心してお役目を果たして欲しい。
そう思っているからこそ、
私は光秀さんに何のお願いも頼りもしていない。
だがこの乱世で生まれ育った訳では無いから、
分からないことがあれば教えてもらっている。
相変わらず没頭していたからだろうか、
いつの間にか部屋が暖かくなっていた。
「(誰が行火(あんか)を…?)」
私はいつの間にか知らない間に、
部屋が明るくなっていたことに気付き、
辺りをキョロキョロしてみる。