刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
どういう経緯で知ったのかは分からないが……それなら話は早い。こんなことならもっと早くにあしらうべきだったな、と大倶利伽羅は女を睨みつけた。
何より先の女の言葉は大倶利伽羅の心を最もささくれ立たせた。
「どういう意味かは知らんが、俺はあいつのものだ。お前など微塵も興味もないし迷惑だ」
「審神者様が主だから逆らえないんですね…知ってます……刀剣男士は皆おのずと審神者を好きになるし逆らえないようになってるって。きっとそれを利用されてるんですよね」
「はっ、そうじゃない」
「私は審神者様なんかより大倶利伽羅様一人だけを…」
「黙れ…!」
「だって…現に審神者様はその立場を利用して大倶利伽羅様を縛り付けて。その上大倶利伽羅様だけじゃ飽き足らず皆にいい顔をしてるじゃないですか。それって酷くないですか?大倶利伽羅様がいながら他の刀剣様にも色目を、」
「それ以上その口を開いてみろ。切り刻むぞッ!」
「…っ」
大倶利伽羅が鋭い形相で女を見下ろし、そう言い放つと女はやっとその口を噤み服を掴んでいた手も放した。
それでも何か言いたそうにしている女を見て、大倶利伽羅は軽く舌打ちし踵を返した。