刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第48章 忍び寄る魔の手
「伽羅ちゃん…?大丈夫?疲れちゃったの?」
「…」
「鶴丸にいたずらでもされた??」
「……何でもない」
こんなところでは誰かに見られるかも知れないと思ったものの、珍しい様子の大倶利伽羅さんを邪険に出来るはずがなかった。
大倶利伽羅さんは首筋に顔を埋めたまま、何度か深呼吸を繰り返した。その吐息が少しくすぐったい。
「伽羅ちゃん…?」
「…」
何度か聞いて見ても何も答えないということは、詮索しない方がいいのだと悟り、私は彼の背中にそっと手を伸ばした。
ポンポンと優しく叩き初めてからどれだけ経っただろう…彼の腕の中にいたはずの私は、突然壁に押しつけられ、今度はいとも簡単に唇を奪われてしまっていた。
「ん、んんっ……ん、」
突如始まった激しい口付けに呼吸もままならない。途中、最低限呼吸が出来るように唇を離してくれるものの何度も角度を変え、再び深く重なる。
初めは抵抗して大倶利伽羅さんの胸を何度か押したけど、無駄な努力とわかり、また久々の彼との口付けに否応にも胸が高鳴ってしまい、早々に抵抗はやめてしまった。
こんな廊下でなんて……――絶対ダメなのに……
甘く、深く……かき乱される……
「ん、…………っは、んぅ」