第8章 初めてのお友達
アメジストの荷解きを済ませた頃、放送が鳴った。
『昼食の準備が出来ましたので生徒の皆様は一階の大広間へお集まりください』
「昼食だって!アメジスト行こう!」
「はい!」
「て言うかさ、アメジストって長いからジスって呼んでいい?」
「もちろんいいですよ!よろしくね、フレア!」
そんなこんなで話していると食堂に着いた。
広い食堂はまだ半分しか埋まっておらず席を取るのに苦労はしなかった。
「うわぁ!オムライスだ!」
昼食のオムライスはとてもふわふわな卵にデミグラスソースがかかっていた。
「美味しそうですね!いただきます」
「いただきます!」
オムライスを食べてデザートのアイスを食べていると
「信じられませんわ!!」
と、大きな声が聞こえた。
声の主は配膳場の前にいる新入生のようだ。
よく見ると彼女の服が濡れている。
先輩が彼女にぶつかった際コップの中の水が跳ね、かかったようだ。
「この私に水をかけるだなんて、私が誰か知っての所業ですの?」
「この方は伯爵家ご令嬢のアナスタシア様ですよ!気を付けなさい!」
「何言ってるの!貴女方がそんなところで輪になって話しているのがわるいんじゃないの!」
どんどんヒートアップしていく口論、確かにあの女子生徒、アナスタシアは食器返却口のすぐそばで立ち止まり取り巻きと話していた。それにアナスタシアは話しているときの身ぶり手振りが大きい。ぶつかっても仕方ない。
「なんかめんどくさそうだね」
「ええ、それどころかあんな態度までとるとは、同じ貴族として恥ですわ」
「ちょっと行ってきます」
「え?あそこに混ざるの?大丈夫?」
「ええ、私は大丈夫です」
自信満々に言ったジスはその輪に向かい
「ごきげんよう、アナスタシア様」
と笑顔で言った。