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【A3!】恋する劇団

第1章 ◆ありったけの愛を、君に。  碓氷真澄


「ますみくん」


「ねぇ、どうしたら俺を好きになってくれる?」


「黙って、お願い」


「やだ。アンタに俺の気持ちを信じて欲しい」 


「……おねがい、だから」


「……監督のこと、好きでいるの迷惑?」


「―ッ」



迷惑だと、言ってしまえばいい。

そうすればきっと彼は、優しいから、もう言わなくなるだろう。


けれどもそれは同時に、彼を傷つける行為だとわかっている。



「ねぇ、監督」


「……ごめん、部屋に戻るね。臣くん、そろそろ戻ると思うから、ご飯作ってもらって。」



彼の気持ちに答えず、逃げる私は卑怯者だ。
"あの人"と私は、何が違うのだろう。

自己嫌悪を胸に抱えて、私は自分の部屋に逃げ込んだ。

けれど、あのままあそこにいたくなかった。


彼の気持ちをあれ以上聞きたくなかった。

そんな私のエゴで傷付けてしまった彼に、罪悪感を抱きながらも、もう何も考えたくないと、枕に顔を埋めた。
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