第3章 ◆あなたとなら 伏見 臣
「………」
しかしいくら待っても、臣くんから返事は貰えない。
怪訝に思い、顔を上げる。その時
「――ッ」
「ッ…ゆめ、みたいだ……」
顔のすぐ横で、彼の涙ぐんだ声が聞こえる。
私よりも高い背を屈ませて、その長い腕を背中に回して。
そこでようやく、彼に抱きしめられているのだと気づいた。
「お、おみ…くん…?」
「監督は、…左京さんと、付き合ってるから、好きになっちゃいけないって……」
それは、優し過ぎる彼からの
「おれ、俺も、優しくて、何に対しても一生懸命で、簡単に諦めない強さを持ってる――監督が、好きだ」
幸せ過ぎる告白だった。
きっと、これから先、苦労することは沢山ある。
ここの経営は機動に乗っていると言っても、いつまた、危機的状況になるかもわからない。
ゴッド座との対立もある。
不安が全く無い、訳でもない。
それでも、あなたが隣りに居てくれるなら、きっと大丈夫だって、今なら言えるんだ。