第2章 ◆ホワイトデー 皇天馬
「……それより。…その、バレンタインにチョコレート渡してきたやつって、男かよ」
あからさまな話題変換をしようとした天馬くんの問いかけに言葉に詰まる。
確かにチョコレートを貰ったのは男性役者だったからだ。
丁寧な、愛の告白の手紙を添えられた、いわゆる逆バレンタイン。
別にその人からの告白を受けようと思っていたわけでもないし、向こうもお返事が欲しいという感じじゃなかった。
けど頂いたからにはお返しはしておかなくては…と思って今日付き合ってもらっただけなんだけど、何となく気まずくて、天馬くんの真っ直ぐな視線から逃れるように目線を逸らす。
「………」
「……まさか、俺と別れたらそっちに行こうとか思ってたんじゃ…」
「そんな訳無いでしょ!?
…え、まさか天馬くん、ホワイトデーに渡すお菓子の意味とか知らないの……?」
「?菓子に意味とかあるのか?」
「………」
今までバレンタインでチョコレートを貰った時、彼はどうやってお返しをしていたのだろう…
下手に返せば、相手の女の子に期待を持たせるようなことになりかねないのに。
呆れと不安を混じらせたため息を落としながら、簡単に説明をする。