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【A3!】恋する劇団

第2章 ◆ホワイトデー  皇天馬


こんな、醜い感情も、暗い考えも、天馬くんにだけは知られたくなかった。


嫉妬なんてしない。

何をされても、笑って受け止める。

上辺だけの笑顔を取り繕う。

天馬くんに、嫌われないために、
余裕のある、年上の彼女を演じていたかった。


けれども、そんな化けの皮も、もう限界だった。

分厚い、化けの皮の下を知られて、嫌われる前に、離れてしまいたかった。



「私は、嫉妬だってするし僻んだりもする。

余裕がある様に見えるのはそう見せてるだけでしかない。


……天馬くんが私と不釣り合いなんじゃない。

私が、天馬くんと釣り合わないの。
私は天馬くんが思ってるほど、大人じゃない」


「ッそれでもいい。俺は監督がいい。監督が欲しい!
俺は、大人だからなんて理由で、監督を選んだわけじゃない。
俺が劇団に入ったばっかの頃、俺の苦しみを取り除いてくれた。
失敗したらどうしようって、怖くて、蹲っていた俺を、立ち上がらせてくれた。
あの時、俺は他の女なんて目に入らないくらい、アンタを好きになったんだ。
……それとも、監督は、俺のことなんてもう、嫌いに、なったのか?」


「ッそうじゃない、私も、天馬くんのことが好き。
天馬くんは、いつも偉そうで、不器用で、口が悪くて、誤解されやすくて…」


「……本当は俺のこと嫌いとかじゃないよな…」


「ご、ごめん、違う、そうじゃない…!
そうじゃなくて……何に対しても、真っ直ぐでいられる天馬くんが好き。一緒に、いたい。別れたくない…!」


「……本当、か…?……よかった、監督…」



天馬くんの顔が近付いてくる。
あ、これは、駄目なやつ。目が本気だ。
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