第2章 ◆ホワイトデー 皇天馬
ホワイトデーも目前ということもあってか、地下の食品売り場は大勢の人で賑わっていた。
どのお店も、目玉商品を手にお菓子屋さんのお姉様方が声を張っている。
「うげぇ…凄ぇ人だな…」
「ね…流石ホワイトデー前……」
「どれを買うかは決めてんのか」
「あ、うん。クッキーかマシュマロにしようかなって思ってて」
「ふぅん…。じゃ、さっさと買うぞ」
「……」
さり気なく取られた手に、思わず胸が苦しくなる。
何か、こう。エスコートしなれてる感が凄い。
きっとドラマとかで沢山女の人と繋いでるから、慣れているのだろうとは思うけども。
あの女優さんにも同じように、手を繋いだのだろうかと思うと、嫉妬してしまう私は、とても醜い。