第2章 ◆ホワイトデー 皇天馬
「天馬くん」
「うぉっ……、……監督…」
「ね、今日、確か一日中お休みだよね。
一緒にお出かけしない?」
「あ、あぁ、いいぜ」
「じゃあ、10時に寮の入り口に集合ね」
あれからちゃんと話し合うことも出来ないまま、数日が過ぎた。
私と天馬くんの間には、きごちない雰囲気が流れている。
熱愛報道の方はといえば、相手女優の所属事務所からも圧でも掛かったのか、ニュースではめっきり流されなくなり、あれだけうるさかったマスコミもすっかり来なくなった。
正直迷惑していたから、有り難い話だ。
「――んで?どこに行くんだよ」
私が準備を終わらせて入り口に出ると、すでに待っていたらしい天馬くんに行き先を聞かれる。
「お世話になってる劇団の劇団員さんからバレンタインにチョコレート貰ったから、そのお返しを買いにデパートに行きたくて」
「……それって個人からか?劇団からとかじゃなくて」
「そうだけど。貰ったからには、ちゃんとお返ししなくちゃね」
「…そーかよ。んじゃ、早く行くぞ」