• テキストサイズ

【A3!】恋する劇団

第1章 ◆ありったけの愛を、君に。  碓氷真澄


「……それでもいい、傷付けられてもいい。
それでアンタが俺を信じてくれるなら。
俺の気持ちを受け止めてくれるなら、それでいい。
…それとも、監督は、俺のこと嫌い?」



まるで核心を突くような言葉に、一瞬息が止まった。
突き放さなくちゃ、そう思った心は途切れ途切れに嘘の言葉を吐き出す。



「……きら、い」


「…本当に?」



真澄くんがうつむく私の顔を覗き込んでくる。

いつもの真っ直ぐと見つめてくる、全てを見透かすような瞳だった。
その瞳から逃げるように顔を逸らすと、頬をふわりと包み込み、真澄くんは続けた。



「本当に嫌いだったら、監督は最初からハッキリそう言う」


「ッ私の何を知って――」


「知ってる。俺は、ずっとアンタのことを見てた。
これからも、監督だけ見る」



嫌だ。
聞きたくない。
聞いてしまえば、もう。



「……監督、愛してる。」



この真っ直ぐな気持ちから、逃げられないと悟ってしまう。



「すぐに信じてくれなくてもいい 」



また信じたくなってしまう。
あの馬鹿みたいな思いは、もう二度と御免だと思っていたのに。



「俺の側にいて、お願い……」



あぁ、もう、逃げられない。
/ 40ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp