第20章 朝
そう言って私はお金を置いて店を出ていく。
…
「…いい男だったわ。
でもこの靴、サイズが小さいわよ…。…可愛らしい靴ね…あまり見たことがない靴ね。この店に飾って置こうかしら。
罪な男ね。いつか、また会えるかなぁ…。」
ミケ子はエルヴィンが店を出ていってからそう呟いた。
…
ふぅ。ようやく店を出ることができた。…捨てるのは勿体なかった。まぁ、やつは捨ててしまったら盗聴していることがバレて逃げる可能性もあるからな。
彼女の戯言でも盗聴して聞けばいい…。クセになるな。
だが、どこかで見たことがあるような体型だったな。
筋肉のついた体…。力仕事をしているのか?俺は訓練兵になってから筋トレの回数が多くなったが…。
訓練兵?確か彼女の名前はミケ子だったような…。
ミケ子…
ミケ!?
私はドキッとした。冷や汗が流れてくる。
まさか、ミケはこの島のやつではないぞ。私と同じパラディ島出身である。あぁ、少し疲れているんだ。ミケがオカマになったわけではない。参ったな。…ドッペルゲンガーという言葉は聞いたことがある。
「…しまった。肝心の靴を買い忘れた。」私は考え事に夢中になりすぎていた。スマホの時刻は8時だ。おにょはまだ部屋にいるだろう…。
(…俺はおにょを監禁しているのか?はやく戻らなければ…。靴は今日、一緒に買いに行くことにしよう。とりあえずメールを打っておくか。)
私はおにょとリヴァイにラインを送る。一段落するとため息がでた。
私はホテルに向かう。朝食まではまだ時間がある。
(リヴァイには靴のことを言っておくか。)
私はメッセージを打ち終わると足早にホテルへ帰った。
~エルヴィンSide終~