第16章 ゆさろや
私は大なり小なり我慢していたということになっていたのか。
(…っていうか、私がいない間にこれだけの量の料理を完食するなんてすごい…。)
これだけ食べて太らないとは…やはり二人にはかなわない。
「そろそろ部屋に戻るとするか。」
エルヴィンはそう言ってエレベーターの方に歩いていく。
三人はエレベーターが来るまで静かに待つ。
リヴァイは先ほど貰ったスマホの操作をしていた。
私はボーっとそのしぐさを見ていると、急に耳元で
エルヴィンが
「…先ほど食べたラズベリーの味はどうだった?」と聞いてきた。
(そうだった!私はついさっき団長と間接キスをしてしまったのだ!!!!どうしよう。もう顔をまともに見られないよ…。せめて感想を言わなくては…)
「…甘酸っぱかったです。…ありがとうございました。」
私がそう言うと、ちょうどエレベーターが来た。
そしてエルヴィンが
「そうか。ならよかった。」
と言ってエレベーターに入った。
(うわぁ…ドキドキする。なんか普通の旅行みたいだな。いや、でもこれは重要な任務だから!私よ、浮かれるな!)
私は深呼吸する。
しばらく無言が続く。
「夕食後の行動は自由だ。ただし、ホテルから出るときは私に伝えてから出なさい。それから、22時頃は明日の予定を考えるから私の部屋に来なさい。…それから、何か大変な事が起こったら直ちに連絡しなさい。」
そうエルヴィンは私たちに伝えた。
「了解だ。エルヴィン。」
「わかりました。」
エレベーターが止まり、部屋につく。
(部屋は、団長、兵長、私の順番か。10時に団長の部屋に行くこと!まず、温泉入って、10時まで何しよっかな…。)