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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第8章 三叉路の真ん中で





『……あははっ!ありがとう、二人共。』


「「やっと笑ったな(ね)」」

奏音の輝く様な笑顔を見て、二人は声を共にする。


『重なってる〜!ほんとに二人は相性が良いね。』

泪を拭い乍そう笑う奏音は何かを吹っ切れた様な表情だった。





「良くねェよ。」
「良くないよ。」


「ッし。今度は被らなかったな。」

中也が小さくガッツポーズをする。

『楽しんでるでしょ?』



「…態と少し早く云う辺り、ほんと中也って莫迦だよね。否々、楽しんでは…無いよ。」

太宰も満更では無いようで、笑い乍そう云った。



『はぁぁぁ……ほんとに幸せだな、私。
今度綾辻先生のとこにも行こう。こんな私でも、また大事な人が出来たよ。って。』

両手を大きく広げ乍奏音は後ろに倒れ込む。



「綾辻?誰だそれは。」

中也が聞き慣れぬ名前に反応する。


「特一級危険異能者。それでもって殺人探偵と云われている。」

太宰が軽く説明すると、中也は目を見開く。


「奏音手前そんな危ねェ奴の所行ってるのかよ?!」


『先生は危なくないよ?
しかも中也、もう先生に会ってるよ?』

きょとんとした顔をし乍奏音はそう告げる。


「は?俺が、その綾辻って奴に?何時の話だ?」

『私がポートマフィアに戻って来る前に、路地裏で。衝突しそうになった所を先生が回避してくれた時の…』


奏音がその当時の状況を説明している途中に思い出したのだろう。中也はぽんと手を叩いた。


「あー彼奴か!思い出した。
あの日光避眼鏡(サングラス)掛けた探偵!」


『そうそう。あの人だよ。』

「未だ会ってたのかい?」

太宰は少し不服そうな顔をして問う。


『うん。私が特務課の監視を受けてる時代の大事な友達だからね。』

懐かしむ様な目をした奏音は矢張り、少しずつだが、大人になっているようだった。







『…二人はさ、眠くないの?』

欠伸を噛み殺し乍奏音は素朴な疑問を口にする。


確かにそうだ。時計の針は27:00……深夜3:00を指しているのだから。




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