第11章 真実と虚偽の狭間で
『私たち別れたのよ?それを解って云ってるのよね?』
「当たり前だ。要するにやり直さないか、ってことだよ。」
そう云って太宰は奏音の横たわっていた寝台に片足を乗せる。
するとギシッと寝台は音を立てる。
『…やり直せるの、?』
弱った心は揺らぎ易いのだろう。
奏音は少し期待の篭った目で太宰を見詰める。
「あぁ勿論。やり直せるとも。」
太宰もニコリと笑って奏音に手を伸ばす。
当に奏音が太宰の手を掴もうとした瞬間だった。
「待てよ。」
扉の開く音と同時に中也が静止に入る。
「奏音。俺との約束忘れたか?
俺もお前に想いを告げたが。」
少し不満そうな顔をして中也も奏音の寝台の傍まで歩み寄る。
『忘れては……ない。
でも、不安はあるわ。中也は、巻き込んじゃいけない気がして。』
「意味解んねェ。俺は、お前と一緒に生きていたいと思ったからお前に告げたんだ。ンな簡単に振りほどかれて堪るかよ。」
『解った。数日待って。
私の中で答えを、出させて。
答えが出たら………決めたどちらかの部屋に行くわ。だから、それ迄待っていてくれない、?』
「当たり前だよ。私のお姫様。」
そう云って太宰は奏音の手の甲に接吻を落とし、部屋を去って行った。
「俺も待つから。何時までも待ってやる。手前の心が決まるまで、な?」
優しい笑みを浮かべて中也は奏音を抱き締めて部屋を去って行った。
予想外の展開に奏音は悩みつつも、たった一つの答えを自分の中に編み出すのであった──。