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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第8章 三叉路の真ん中で







「君たち。此方を手伝ってくれ給え。」

太宰が声を掛けてきたのだった。



「…解りました。直ぐに向かいます。」

太宰の剣幕に圧された有島は業と共に太宰の後を追った。




太宰の後ろを付いて移動して少しした頃、突如有島と業の前に柚音が現れたのだ。


「ゆ、柚音。如何したんだい?」

「お姉ちゃんの所為。ここ迄飛ばされた。」

不貞腐れて答える柚音は相当頭に来ていた様だ。




此処だよ。

太宰にそう云われ、連れてこられたのは、中央広間だった。

そこには、沢山の負傷者が寝転び、医師の治療を待っていた。


中には遺体袋まで転がっており、悲惨な現状を目の当たりにした業は軽く嗚咽を漏らした。



「此処で私たちは彼らの手当をするんだ。
鎮圧は黒蜥蜴や、紅葉の姐さんに任せよう。」



彼らは暫くの間、無言で作業を続けていた。

すると、急に金切り声が広間の入口から聞こえた。



「如何した?!何があった、!」

逸早く反応した有島は入口に向かって走る。







そこには、腹部から流血させた奏音がいた。



『お願い、来ないでっっ…!』

半ば理性を理性を失っている様な奏音が叫ぶ。


奏音の周りには硝子鏡がかなりの数浮いていた。


「お姉ちゃん!辞めてってば!!!」





そう云って柚音が奏音の傍に駆け寄った。


その時だった。



奏音が痙攣し乍叫び、異能を発動してしまったのだ。




無数の硝子鏡が柚音に突き刺さる。


『駄目、駄目、駄目ッッ!!!

来ないで!危ないからッッ!!!』

一瞬理性を取り戻した奏音の悲痛な叫びだった。






「…おね、え、ちゃん……なん、で、?」


そう云って柚音は倒れた。



「おい!柚音、!柚音?!」

そう叫び乍業が駆け寄るも、柚音は全く目を開かず、意識も朦朧としていた。




「……奏音。大丈夫だ。
私は此処に居るのだから。安心し給え。」

そう云って太宰が抱き締めると、奏音の痙攣は治まり、まるで電池が切れたかの様に眠り始めた。




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