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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第6章 過去に押し流されて




「あぁ。そうだとも。まぁ…あの子は覚えて居ないだろうがね。」

「何故です?本当の父親なんですよね」

「実は幼い頃に誘拐されていてね…それ以来は…」

鴎外は俯き乍話す。目からは小さな雫が零れていた。


「助ける事は?しなかったんですか?」

「何せ私は町医者。そんな力は持ち合わせて居ませんよ。」

業は怪訝そうな顔をして聞いていた。


「…あの。では何故此処に侵入してこれたんですか?」

業の疑問も最もだ。自分の娘すら助けられない町医者が、何故山奥の施設まで来られたのか。


「それは…エリスちゃんのお陰でね。
彼女は異能生命体。私を助けてくれるのだよ。」

鴎外はそう云ってエリスを見る。

「そうよ。私はリンタロウの異能。だから、リンタロウの意のままに動くわ。」

確かにそう云うエリスは宙に浮いていた。



「…戯言は何時まで続きますか?」

口を噤み、考え込んでいた有島が口を挟んだ。







「……ポートマフィアの現首領、森鴎外さん。」


有島の言葉に鴎外は少し目を見開いた後、高笑いを始めた。


「流石だ!矢張り噂に聞いていた通り、君らは賢い!

…君らも奏音と共にポートマフィアに来ないかい?」

「…考えておきます。
因みに…奏音が自分の娘だと云う証拠は?」


「此れだよ。DNA判定だ。」

そう云って一枚の紙を取り出す。


「本当だ。DNA判定は一致してますね。」

有島と業は顔を見合わせる。



そして、言葉を発さずに意思疎通が出来たのか、二人で頷いた後、こう告げた。


「ポートマフィア、行かせて頂きます。」

そして、二人揃って頭を下げたのだ。


「頭は上げ給え。

じゃあ、奏音の部屋まで案内してくれるね?」


「否、奏音は僕が責任を持って連れて来ます。僕の異能を使えば、見つかる事無く連れて来れますから。」

そう云って有島は歩き出す。







そして、数歩歩いた後、彼の姿は誰にも見えなくなったのだった────。



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