• テキストサイズ

鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第5章 追憶と過去





数十分経った頃だろうか、奏音の身体を揺する人が居た。


「僕だよ、有島。一寸話があるから、僕の手を握って。

で、絶対に喋らないで。」

有島は外の番人を気にし乍、こっそりと耳打ちをする。


奏音は無言でこくこくと頷き、云われた通り有島の手を握る。



すると、有島は奏音の手を引き乍、鉄格子をものともせずに通り抜け、番人の目の前を通って行く。




が、番人らは全く気付かない。



先日有島やケイと話していた部屋まで来ると、指を鳴らした。


「ん、もう喋っても良いよ。」

『あの、なんで黒さんたちは気付かなかったんですか?』


「黒、?あぁ、番人たちね?

それは僕の異能の所為。僕の異能は幻想。
端的に云えば、僕が触れたものや、目に見えているものを他の人からは見えなくする事が出来る。」

そう云って有島は得意気に笑う。



『それが異能力、なんですね。』

奏音は頭の中で異能のイメージが固まったらしく、少しすっきりした様な顔をしていた。


「一寸待っててね。ケイくんが業を連れて来るから。

四人揃ったら話を始めよう。」


この時、奏音はあくまで直感で、有島は悪い人では無いのでは、と思った。



「来たよ〜う。遅くなってごめんよ〜!」

ケイが陽気な声でそう云い乍部屋に入ってくる。
勿論後ろには業もいた。



『……え、?ケイさんって、女の人だったんですか、?!』

そう、この日ケイはシンプルな黒いワンピースを着ていたのだ。


「うーん…おいら、女でも男でもないのさ。
ほら、あるじゃん?性別不詳って。おいらの場合はそれなのさ!

あ、でも、ケイくんって呼ばれる方が好きだよ〜」

そう云ってケイははにかんだ。



/ 114ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp