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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第5章 追憶と過去






「君の異能は四鏡。これからきっと沢山練習して、使いこなせる様にならなきゃいけないと思う。

まぁ練習相手はおいらか有島くんだから安心しな〜?


他に質問あるー?」

話の内容とは似ず、ほのぼのとした声で淡々と説明するケイ。


『あの…なんで"今から"異能力者なんですか、?』

「お!良い事を聞いてくれたね〜

それは、おいらが君に異能を植え付けたから。
あー、譲渡した、とも云えるかな。」


「って事は、元々はケイさんの異能なんですか、?」

業が好奇心混じりに口を挟む。


「否?これはね…ボスの娘さんの異能だよ。
まぁ…もう死んじゃうんだけど。」

「あらら、もうダメなの?残念。」

有島は残念さなど微塵も感じられない様な冷淡な声で問う。


「うん。余命宣告から一年だもん。
今迄生きていたのが奇跡。」

辛辣な会話に奏音は言葉を失う。


微妙な空気が流れる中、突然部屋の扉がノックされる。



「ケイ様。準備は出来ましたか?」

「うん、出来てる。良いよ、入って。」


すると、真っ黒なスーツに身を包んだ厳つい男が部屋に入ってくる。


「これからお前の世話をするのが俺だ、着いて来い。」

それだけ云うと、男はすたすたと歩いていってしまった。


奏音は急いで追い掛ける。



「此処がお前の部屋だ。」

そう云って通されたのは、壁一面真っ白な部屋に、真っ黒な寝台が一つ。そして真っ白な机椅子が一つ。そして無機質な音を奏でる時計が一つ。他には何も無い部屋だった。

脱走防止の為に窓には鉄格子が張られ、自殺防止の為に、寝台や机椅子の角は丸く処理してあった。



奏音は軽く身の回りを整えて寝台に潜り込む。

不安や恐怖心が脳内を支配していたが、疲れも溜まっていた為、直ぐに眠りに落ちた。




───翌朝。



いきなり先日の男に敬語を使われ、挙句の果てにはその組織のボスには由良と呼ばれた奏音は驚きと戸惑いを隠せぬまま、自室に戻ってきた。



疲れが抜け切れておらず、寝台に寝転がるとうとうとし、そのまま眠りに落ちた。



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