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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第1章 出会いと始まり





『今からの異能飛ばしと移動に使います。
暫しお待ち下さい。』

落ち着いた、それで居て柔らかな物腰の少女。


一体彼女は幾つなのだろうか。
見た目だけで判断をすれば12,3が良い線だろうが、立ち居振る舞いや発言を考慮すれば、18,9と云われても何ら違和感は無い。



「よし!では頼むよ。」

太宰の一言で我に返る中也。


『異能力───四鏡、大鏡。』

少女がそう云うと、宙に浮いていた二つの鏡が共鳴し合い光り始めた。


太宰が少し鏡に近寄ると、目を貫く様な激しい白光が辺りに満ちた。


「い、今のは何なんだよ。」

中也は開いた口が塞がらない様だった。


『太宰様の異能を飛ばしただけですよ。』

さも当然かのように淡々と告げる少女。


『では…太宰様は私の手をお取り下さい。
中原様は太宰様の手を。』

そして少女に云われるが儘手を繋ぐ中也。


太宰が鏡に一歩、また一歩と近付いて…

足を踏み入れた。


すると鏡は一層輝きを増し、三人を吸い込んだのだ。



◇◇◇◇



処変わってポートマフィア本部首領室前。

何処からとも無く三人は現れた。


「矢張り覚えていたんだ、首領室の場所。」

そう云いニヤリと笑う太宰。

しまった。と云う顔をする少女。

頭に疑問符を浮かべる中也を他所目に太宰は首領室の扉を叩く。

「森さん。入るよ。」

軽く一言告げると、中からは承諾の声がした。



重厚な扉を開けると、肩まで黒髪を伸ばし、高級そうな椅子に腰を掛ける男性と、"この"界隈の雰囲気に不釣り合いな金髪に真紅の西洋服の少女が居た。


「いやぁ太宰くん、申し訳無かったねぇ。
彼女、連れて来るの中々大変だっただろう?」

森さん、と呼ばれた男性は申し訳無さなど微塵も感じられぬ様な声色で淡々と話す。

そして、
「何故君が此処に呼ばれたか、解るよね?」

小さな子供をあやす様に少女に声をかける。


『解ります…でも、応じない。断らせて頂くわ。』

少女の眼差しは真剣そのものだった。強大な威圧にも動じぬ強さは少女の見た目からは想像が付かぬ程であった。


「はっはっは!そう応えると思ったよ。
ねぇエリスちゃん?」

そう云って鷗外はエリスと呼んだ幼女の頭を撫でる。



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