第4章 微睡みから醒めて
話が纏まり、セーフティハウスに戻ると、中也は荷物を一つにして部下に渡していた。
「悪ィな。頼んだぜ。」
「勿論です。奏音さんはどうされますか?」
部下の一人が奏音に問いかける。
『えっと…お願いしても良いかな?』
「勿論です。では、お預かりしますね。」
気の利く部下が数名奏音や中也の荷物を持ってポートマフィア本部まで帰って行った。
身軽になった二人は駅に向かって歩き出した。
◇◇◇◇
駅に到着して数分。沈黙が続く。
『…………』
「…………」
「…………」
「何で太宰が此処に居るんだよッ!」
静寂を最初に破ったのは中也だ。
『……治、来る??』
奏音が遠慮がちに尋ねると、
うん、勿論!と明るい二つ返事が帰ってきた。
その間中也は凄い形相で太宰を睨んでいたのだが。
「へぇ?二人で夜景を見に行こう、と。」
『そうなの。治は丁度指示出ししてたから話には入って無かったけど…』
「つか太宰は来なくても良かッたのに……」
奏音と太宰が二人で話していると直々中也が文句を入れる。
「五月蝿いよ中也。だったら中也が帰れば良いじゃ無いか。」
太宰は名案とばかりに嬉々として話す。
「ンだと?!
俺が元々奏音と約束してたのに入ってきたのは手前だろッ!」
また何時もの口喧嘩が始まる。
太宰も余計な一言を云うし、中也も中也でそれに反応する。
『……私が帰ろうかな。』
奏音が半ば呆れ気味に呟くと、太宰も中也も口喧嘩を辞め、
「「奏音が居なくちゃ意味が無いじゃないか(ねェよ)!」」
息ぴったりだ。
『……ッあはははっ!息ぴったり〜!』
顰めっ面をしていた奏音も思わず吹き出す。
『もー、観光に来てまで喧嘩は辞めて?
てか、私のいない所でして?』
泪を拭い乍彼女はそう告げる。
電車に数十分乗った後、お目当ての場所に到着する。
『わぁ…街並みが綺麗だね!』
視界一面真っ白な建物で覆われている、何とも幻想的な世界だった。
「日本にこんな場所があるなんてね。」
太宰も感心したらしく、建物の傍まで寄って眺める。